直近でいろいろと考えることがあり、今後の方向性などを整理していくために考察を書きます。
端的にまとめると、運営しているスプラトゥーンのクラブチーム「アタリメフルボディーズ」に関して、今後は「クラブチーム」から「コミュニティ」に変更して拡大していくという話です。
例によって走りながら考えようと思ってスタートしたアタリメ団ですが、先日の記事でも書いたように、PVPと呼ばれる対戦型のゲームにおいてはコミュニティが重要になるというのは間違いありません。
今後のゲームというのは「対戦型」で、かつ「同時接続による団体戦」が一般的になっていきます。
これはもう、枠組みだけ見たら立派なスポーツと言えます。
しかし、オンラインで「個」がベースになっているゲームというジャンルは、急速にスポーツ化する「タイトル側」に対して、「プレイヤー側の環境整備」が追い付いていないのが現状です。
代表的な事例が「ガチマッチ」のような、例えばフットサルで表現するなら「コミュニケーション禁止の個サル」のような特殊なスポーツ体験が中心となってしまっていることです。
ユーザーを定着させるためには、当たり前のようにフットサルと同じような競技環境を整える必要があります。
ただ、オンラインで楽しめるというメリットを崩してしまうと、ユーザー側のコストが増加します。
そこで、オンラインコミュニティの需要が高まっているという話ですね。
ユーザー同士でチームを組んで一緒にゲームをしたり、大会を開催してみんなで楽しんだりするための受け皿になってくれる「オンラインコミュニティ」があれば、急速にスポーツ化するタイトルに合わせて、ユーザー側の「スポーツとして取り組む環境」もアップデートしてあげることが可能です。
それが、この1年間のアタリメ団の運営で得た成果物でした。
しかし、計算違いの部分もありました。
私は当初、アタリメ団を立ち上げた際には「スプラトゥーンというタイトルや業界自体」へのアプローチが必要だという判断をしていたのですが、1年間動いてきて、それを撤回することにしました。
正直に言って、ユーザーが若すぎました。
時期尚早というやつです。
そしてもう一つは、私自身がこの1年間で、精神的価値を法定通貨で計測できないことに確信を持ったことです。
私はここ数年、ポスト資本主義社会の形態を探っていろいろな研究をしてきましたが、そのアプローチは2つの方向に分かれます。
1つは、21世紀の価値(精神的価値)を20世紀の価値(物質的価値)に変換していく動きです。
例えば、スプラトゥーンの技術指導でマネタイズをしたり、スプラトゥーンの大会で賞金を出したりすることがそれに該当します。
もう1つは、21世紀の価値(精神的価値)を計測してストックできる仕組みを創っていく動きです。
これは、独自通貨や地域通貨という考え方が近いと思ってください。
両面で様々なテストを繰り返してきましたが、どうも答えが見えませんでした。
そして、最近は第三のアプローチに到達しています。
それは、全員が20世紀の価値と21世紀の価値を平行して走らせていくモデルです。無理に両者を統合しないという意味です。
やはり、通貨にアンカーは1種類しか存在できない気がします。しかし、物質的な価値が人間にとって必要でなくなることはないでしょう。
つまり、物質的価値に関する資本主義社会は根底に存在していくことになります。
そのうえで、資本主義社会への依存度が低い生き方にシフトしていくイメージです。
今後、精神的価値を享受するためのコストは、おそらく物質的価値で計測するとほぼゼロになっていきます。
これはつまり、精神的価値を高める活動に従事しても、法定通貨を稼ぐことはできなくなるという意味です。
ここはもう、切り替えるしかない気がします。
私はこれまで、ビジネスを学んでいくためのオンラインコミュニティとしてファーストペンギン村という場所を運営してきました。
そちらは「環境学習」というコンセプトで運営されています。
望んだ人生に向けて、最適な環境を人間が選べるようになれば、それは実質「何にでもなれる社会」が来るというビジョンです。
しかし、アタリメ団は「環境学習」というビジョンとは違う方向で考える必要がありそうです。
なぜなら、学習とは基本的に「20世紀の価値の追求」に内包されるからです。
学習は結果を要求します。成果物が学習のゴールであり、そして現代における学習は基本的に物質的価値を生み出すことに収斂します。
似ているようで、アタリメ団は「21世紀の価値の追求」を中心においている時点で全くの別物だと感じるようになりました。
そこでの成果物は、単純に楽しいとか充実したとかの精神的な価値です。
もちろん、ファーストペンギン村でもメインKPIは個人が物質的価値を高めることですが、その過程で様々な経験をすることで、精神的にも満たされるようになってはいます。
それは人との関わりであったり、挑戦して失敗すること自体の経験であったり、そして最終的には学ぶこと自体への楽しさや成長する楽しさだったりします。
ですが、それらは「結果として」得られるものであって、中心にあるのは「環境を安価に購入できる」ことによる「環境学習の提供」です。
アタリメ団はむしろ反対のアプローチだと言えます。
メインのKPIは個人が楽しめること、つまり精神的価値を高めることです。その過程で、例えば配信したり技術指導したりして物質的な価値を発揮する機会もあるかもしれませんが、それらはやはり付随するものです。
そして、私はこの2つの「精神的居場所」が、両立されるものではないか?という風に考え始めています。
つまり、これからの社会はしばらくの期間、私やその他数名が体験しているような「2種類のコミュニティ」に所属するようになる。
20世紀型の物質的価値を高めるためのコミュニティ
21世紀型の精神的価値を高めるためのコミュニティ
の2カ所に同時に所属して、タイミングや必要に応じて両者を行き来するような生き方が主流になるのではないか?
という風に感じています。
めちゃくちゃ平たく言うと、
仕事したくなったらファーストペンギン村での活動が増えて、遊びたくなったらアタリメ団での活動が増える。
という感じです。
両方に常にいるんだけど、自分のタイミングで比重が行き来する。
これが、私なりの長い17世紀に対する1つの回答です。
20世紀型のオンラインコミュニティ
ファーストペンギン村のような20世紀の価値を追求するためのオンラインコミュニティでは、基本的に環境学習という考え方で運用することになります。
ユーザーの「成長したい」という意思がベースになっており、その変化や成長に向かっていくために必要な「環境」を提供するという形です。
環境は
「文化」
「評価制度」
「仲間」
の3要素になります。
文化は「どうなりたいか」「そのためにどう行動するべきか」を定義して普及すること。そして評価制度によってそれを後押しします。そして、その行動を維持できるための仲間を提供してあげるイメージです。
大雑把に「学びのコミュニティ」という風に定義できるでしょう。
個人の成長を原点においているため、上記のようなモデルが非常に良く機能します。
アタリメ団も、大雑把に似たようなモデルでスタートしていますが、21世紀型のコミュニティと位置付けた場合に、少し調整が必要に感じます。
少なくとも、個人の成長が原点にない時点で、必要なものも変わってくるはずです。
21世紀型のオンラインコミュニティ
個人の成長や変化のために「環境」が必要だという話で、ファーストペンギン村は設計してあります。
文化や評価制度や仲間に囲まれるうちに、特定の方向に成長できるという事です。
もともとは、オフラインでそれは実現可能だったのですが、オンラインで実現したことに大きな意味がありました。
逆に、Eスポーツにおいては、元からオンライン化されています。
オンラインで人が集まるだけの場所なら、どこにでもあったはずです。
ですが、私は必要だと思ってアタリメ団を作りました。
では、何が本当に必要だったのでしょうか?
それは、やはり「スポーツ」に必要な要素だと思います。
そしてスポーツに必要な要素とは何か?というと、
熱量と喪失感
だと私は考えています。
つまり20世紀型のオンラインコミュニティには
- 成長のために環境が必要であり
- 環境とは文化と評価制度と仲間であり
- それをオンラインで提供できることに価値がある
という風に定義でき、
21世紀型のオンラインコミュニティには
- 個人の精神的充足のために環境が必要であり
- 環境とは仲間と練習と目標であり
- それをオンラインで提供できることに価値がある
という風に言えます。
文化の創造とユーザー同士の深い交流
ファーストペンギン村では、文化の創造とユーザー同士の深い交流のためにライブ配信とクエストという2つの仕組みを構築してあります。
アタリメ団でも、人数を増やした時に「文化」を維持するために中心となるメディアが必要なのはおそらく間違いありません。
ライブ配信は採用決定で良いと思います。
加えて、大会の安定供給も重要になります。
大会によって、ユーザー同士が深い交流を行うようになるからです。
しかし、これだけでは不十分でしょう。
持続的に個人の目標を設定していける環境が重要です。
言い換えると、
どうしても勝ちたいと思って仲間と懸命に練習する機会
が必要です。
重要なのは
- やり直しがきかない
- 勝つ人もいれば負ける人もいるという条件
- 応援してくれる人がいる
- そこで勝つために大量に練習する機会がある
- どうしても一緒に勝ちたいと思える仲間がいる
などの条件がそろうことです。
そのためには、
- 文化創造のためのメディア配信
- 大会の安定供給のための公式大会の定期開催
が最低限必要そうです。
これによって、新しく人が増えた時に、まずメディアを見て文化と人を理解し、安心してリグマやプラべ会に参加できるようになり、公式大会で深い交流ができて仲間ができます。
さらにこれに加えて
- 年に1回の全体大会
が必要かもしれません。
年に1回という風に絞り込んで、さらに「好きなチームを組んで出れる」という風にした方が良いと感じます。
そこにお祭りの中心を持っていき、たった年に1回だけど、全員が出ようと思ったら出れるという大会を創っていき、ウデマエ関係なく「思い入れのあるチームで出場する」という風に設計します。
もしくは、トップリーグを作るのも良いかもしれません。
そのあたりの必要なものについてもう少し考える必要がありそうです。
コメント