この記事では、
アタリメクラブユース(以下、ACY)がガチマッチを禁止している理由と、スプラトゥーンを最短で上達するための方法
について紹介しています。
ACYという育成機関に興味を持ってくださった方は、まずは本記事の内容を通じてACYの育成理論やコンセプトをご理解ください。
方向性に賛同いただけた方のみ、ACYのメンバーとして加わっていただけたらと考えています。
技術の向上に必要な4つのポイントと、ACYの取り組み
本記事では、私が10年以上の指導経験を通じて発見した
「技術の向上に必要な4つのポイント」
について説明し、それらの各ポイントを抑えるために
「ACYで取り組んでいること」
についても合わせて解説していきます。
技術向上のポイント① 技術の全体像を把握する
技術の向上に必要なポイントの1つ目は
「技術の全体像」を把握すること
です。
これは言い換えれば「技術という目に見えづらいものを分解し、整理すること」と言えます。
例えば「料理が上手い」というあいまいで捉えづらい技術も、分解すれば「仕込みの技術」「火入れの技術」「味付けの技術」「盛り付けの技術」などのように、小さい単位に分けることができます。
「サッカーが上手い」は「攻撃の技術」「守備の技術」に分けられるかもしれないし、「ビジネスが上手い」なら「セールスの技術」「サービス設計の技術」に分類ができるかもしれません。
(この分類に正解は無く、育成機関によって異なるのが普通です)
そしてこの分類は、そこからさらに細かい単位に分解していく事も可能で、最終的には下記のようなピラミッド構造になっていきます。(下記はサンプルです)
- スプラトゥーンが上手い
- キルの技術
- 潜伏の技術
- エイムの技術
- 対面判断の技術
- 状況判断の技術
- 塗り状況の判断
- 人数差の判断
- 敵位置の判断
- 残り時間の判断
- キルの技術
このように、目に見えづらい「技術」というものの全体像を小さく分解し、ひとつひとつの技術として正確にイメージしていくことで、
- 自分は何ができていて、何ができていないか
- これから、何をできるようになるべきか
といったことを明確にすることが可能です。
想像してみてください。
- 「サッカーが上手くなりたい」という漠然としたイメージしか持たずに何となく練習したプレイヤーと、
- 「自分の課題は攻撃の技術で、その中でもディフェンスの裏に飛び出すタイミングという技術を身につけるべきだから、今日は相手ディフェンスとの目線の駆け引きとポジショニングを意識して練習しよう」という具体的なイメージを持って練習したプレイヤーがいて、
同じ2時間の練習をしたら、どちらの技術が伸びそうでしょうか?
このような意識の差が毎日毎秒積み重なっていけば、圧倒的に後者の方が技術が伸びるのは分かると思います。
全ての大きな技術も、分解すれば小さな技術の積み重ねにすぎません。
しかし、何がどのように積み重なっているのか?をイメージできていないと、密度の濃い練習は不可能なのです。
これが、「技術の全体像を把握すること」の意味であり、重要性という事になります。
ACYの取り組み
ACYでは、この「技術の全体像を把握すること」を実践するために、
学習マップ
という概念を導入しています。
学習マップは、技術全体を細かい単位に分解し、さらにそれらの技術がどのような関係性やつながりになっているかを、路線図のように「ビジュアル化」したものだとイメージしてください。
上記はある地域のバスの路線図ですが、まさにこのようなイメージで、
- マップ全体像
- 大きく分類した「地区」
- 細かく分類した「各駅」
- 大きく分類した「地区」
の3段階の構造で、技術という捉えづらいものを「ビジュアル化」します。先ほどの例だと、下記がそれに該当します。
- スプラトゥーンが上手い(マップ全体像に該当)
- キルの技術(地区に該当)
- 潜伏の技術(各駅に該当)
- エイムの技術(各駅に該当)
- キルの技術(地区に該当)
それに加えて、路線図のように
- 各技術同士が、どのような関係性で繋がっているか
についてもイメージできるようにしたものを、ACYでは「学習マップ」と呼んでいます。
この学習マップを指導陣で作成し、常にバージョンアップし続けていくことで、ACYのメンバーは「スプラトゥーンが上手くなること」について、
- 自分に足りない技術は何なのか
- 自分はこれから何に取り組めばスプラトゥーンが上手くなるのか
という具体的なレベルで正確に把握できるようになっているのです。
ACYは現在、
スプラトゥーンという競技における個人技術を向上させる
のを目的とした「個人部門」を中心に運営しているため、学習マップの全体像は
スプラトゥーンにおける個人技術
となります。(将来的には「チーム部門」も設立予定です)
ただ、スプラトゥーンには内部に「ナワバリ」「エリア」「ヤグラ」「ホコ」「アサリ」という5種類ものゲームルールが存在する上に、それぞれが別ゲームと呼べるくらい完全に原理が異なるという、世界で一番複雑なゲーム性となっています。
それらの5つを1つの学習マップで表現することは不可能で、結果として現段階では
需要の高いゲームルールから順番にマップ化していく
という風に取り組んでいます。
2022年2月現在は、ガチエリアの学習マップのみとなっているため、必然的に
ACYはガチエリアにおける個人技術向上をゴールにしている
という状態です。
もっと分かりやすく言ってしまえば、現在のACYでは
メンバーのガチエリアのウデマエがアップすることをゴールにしている
という状態だとご認識ください。
もちろん、ガチエリアを通じて得た知識や感覚は、確実に他ルールにも活きてくるでしょうし、今後もメンバー数の増加に伴って、扱う範囲を拡大予定です。
その場合は、「ガチヤグラの学習マップ」「ガチホコの学習マップ」という感じで、学習マップ自体が増えていくことになります。
技術向上のポイント② スキルにフォーカスして練習に入る
技術の向上に必要なポイントの2つ目は
「スキルにフォーカスして練習に入る」こと
です。
先ほど、サッカーの例で
という話をしました。
これがまさに、「スキルにフォーカスして練習に入る」の意味です。
これに関しては、言われてみれば誰もが「明確な意識を持って練習した方が上達しやすい」と分かるでしょう。
しかし、実際にはほとんどのプレイヤーがこれを正確に実践できていません。
そのため、ACYでは下記の取り組みによってこの「スキルにフォーカスして練習に入る」という実践をサポートしています。
ACYの取り組み
まず、前述した学習マップの提供です。
習得するべき技術の全体像を把握し、課題を細かく分解してイメージできていないと、そもそもスキルにフォーカスすることができません。
学習マップを常に頭の片隅に置いておくことで、
「今日は学習マップの中の、この部分にフォーカスして練習に入ろう」
という風なイメージを明確に持つことができるようになるわけです。
それに加えて、ACYでは
フォーカスシート
というツールを導入しています。
フォーカスシートとは、
- 自分は今から、学習マップの中のどの課題に取り組む予定か
- なぜ、自分にとってその課題が最も重要なのか
- その課題を乗り越えるために、どういった方法を試す予定か
などの、「スキルにフォーカスして練習に入るために重要な項目」をあらかじめ「言語化」しておくためのシートです。
人間の意識というものは非常に不安定で、
最初は意識しているつもり
だったのが、目の前のことに追われたり、勝敗を意識し始めたりするうちに、
最初の意識は完全に薄れてガムシャラにプレイしているだけ
という状態にすぐに陥ってしまいます。
ですが、過去に数千人を指導してきた私が断言できるのは、
学習の効率は「意識」によって支えられており、意識は「言語化」によって支えられている
という事です。
だからこそ、練習に入るまえに必ずフォーカスシートを埋めて、意識を明確な言語にして見える状態に置いておく。
これによって、常に明確な課題意識を持って練習に入ることができるようになっているのがACYの特徴です。
技術向上のポイント③ 高い集中力で課題意識を持続させる
技術の向上に必要なポイントの3つ目は
「高い集中力で課題意識を持続させる」こと
です。
少しでもスポーツをやったことがある人は分かると思いますが、
課題意識を持って練習をスタートする
のと、
練習時間中、常に課題意識を持ってプレイし続ける
というのには、天と地ほどの差があります。
言い換えれば、それくらい「課題を意識し続けるためには高い集中力が必要」ということ。
スキルにフォーカスして練習した方が上手くなるのは分かっていても、例えば
90分ある練習時間のうち、強く意識を持っていたのは最初の10分だけだった・・・
となっては意味がありません。
そのため、ACYでは下記のような取り組みで「高い集中力を維持する」ための支援を行っています。
ACYの取り組み
ACYでは、
2リグを使用したペア練習(試合中の会話は無し、試合間に振り返りを行う)
を中心とした練習環境を構築しています。
毎月1回、ACY内のマッチングシステムで「二人一組」のペアを構成し、1か月間はそのペアで時間を合わせて練習に取り組むようなスタイルです。(ウデマエがある程度同レベルのペアをマッチングします)
10年の育成経験がある私が、ここであえて断言しておきますが、
あなたは学習マップとフォーカスシートを渡しても一人では実践し続けられない
でしょう。
想像してみてください。
- 空き時間にふらっとスイッチを起動して、ガチマッチをやる時に「わざわざフォーカスシートなんて書く」でしょうか?
- ちゃんと課題に意識を持って取り組んでいる時に、不運にも5連敗してメーターやパワーがどんどん下がっていったら、課題を無視してとりあえず勝ちたくなりませんか?
- 後衛3枚などの編成事故を引いてしまったり、利敵行為や放置する味方を連続で引いた時に、それでも集中力を高く維持できますか?
ただでさえ「高い集中力で課題意識を維持する」というのは難しいことなのに、ガチマッチというシステムは
徹底的に集中力と課題意識を阻害する仕様になっている
のです。
だから、ACYでは密度の高い練習時間を確保するために、ガチマッチは禁止しているのです。
ガチマッチが無駄だと言いたいわけではありません。
ガチマッチは、構造的に練習密度を高めにくいゲーム仕様になっているという事です。
逆に、2リグを使用したペア練習なら
- 練習前に発表する相手がいるから、フォーカスシートを埋めなくてはいけない
- 毎試合後にお互いに振り返りを言語化するため、課題意識が確実に持続する
- 時間を合わせて練習に臨むため、決まった時間内で上達するというメリハリが生まれる
- 計測結果が毎回リセットされるため、勝敗を意識しすぎずに課題にフォーカスできる
- 編成事故や利敵行為などの不運に出会っても、話し合って気持ちをリセットしやすい
など、構造的に「集中力と課題意識を維持しやすい」状況が生まれます。
さらに、試合中は音声をミュートにして、会話をしないことでガチマッチと同じように
個人技術に集中せざるを得ない
という状態を創り出しつつも、練習前や試合間に会話をすることで、課題意識や集中力は効果的に高めることができるという、良いとこ取りができます。
論理的に考えて、
- ガチマッチ
- 2リグを使用したペア練習(試合中の会話は無し)
の2つを練習環境として比べた時に、ガチマッチが優れているのは
ふらっと始めてダラダラ続けやすい
という部分だけでしょう。
だから、ACYでは
できるだけ短い時間で効率よく上達したい人は、ガチマッチは極力やらない方が良い
と言う結論に至っています。
(ガチマッチは、どうしてもやる事がなくて一人で時間を潰したい時には最適です。ただし、そういう時は私なら筋トレをしたり読書をしたり、家族と過ごしたりするのをお勧めします。我々はそろそろ、「上達したい」というポジティブそうな思考を隠れ蓑にして、実際にはギャンブル性の高いガチマッチというゲームに「依存」していることを認めなくてはいけません。)
技術向上のポイント④ 客観的な視点(メタ認知)を取り入れる
技術の向上に必要な最後の4つ目のポイントは、
「客観的な視点を取り入れる」こと
です。
これを教育分野の専門用語で「メタ認知」と呼びます。
例えば、テニスのサーブがどうしても上手くならない!と悩んでいるとします。
そういう時、自分では何が悪いのか全然分からなくなってしまったとしても、
- 自分をビデオに撮影して、フォームをチェックする
- コーチに見てもらって、問題点を指摘してもらう
などの「客観的な視点=メタ認知」を取り入れることで、あっという間に解決することが良くあります。
このように、
- 自分では気づけない課題を指摘してもらう
- 自分では見えない問題を見つけてもらう
などの「一人では構造的にどうしようもないこと」を、メタ認知は解決してくれるのです。
ACYの取り組み
もうお分かりだと思いますが、先ほど紹介した
ペア練習
の仕組みは、相手からの客観的な視点を受け取れるというメリットも備えています。
フォーカスシートを共有し合い、その後に一緒にプレイしながら相互にフィードバックを行うことで、
- 「あの時、宣言していた通りにこんなプレイができていたよね」(意識の再確認)
- 「あのシーンでは、自分としてはこういう風に動いて欲しかったかな」(意識の盲点を発見)
- 「あなたは先にこの課題に取り組んだ方が良いかもしれないよ」(課題の再点検)
- 「あなたのこんなプレイが強みになっていると感じたよ」(強みの確認)
など、自分では見えづらい部分を確認することができるのです。
これによって、効率的な学習や練習体験を実現しています。
さらに、ACYでは専属コーチたちによる
ビデオ添削
も行っています。
ACYの基本コンセプトは
自分で考える
であり、そのための支援ツールとして「学習マップ」「フォーカスシート」「ペア練習」などを提供していますが、やはり「自分で考える」のにも慣れが必要です。
そのため、慣れないうちは
- 自分ではこれが課題だと思ってるんだけど、合ってるか不安・・・(取り組んでいる課題が最適か?が不安になる)
- ウデマエが低い同士でペアを組んでいるから、相手のことを見てあげる余裕がない・・・(高いレベルの視点が不足してしまう)
などの問題や不安が発生しがちです。
それを補うために、週に1回は「試合映像を録画したものを見て、取り組むべき課題をチェックする」というビデオ添削の機会を設けています。(試合映像を収録できる人しか、添削は受けられませんのでご了承ください。)
ただ、理解して欲しいのは
最終的には自分で考えて自分で上達できるようにならなくてはいけない
という事実です。
「上手い人に手取り足取り教えてもらわないと上手くなれない」という低レベルの人材を輩出しないためにも、ビデオ添削はあくまで「補足的な立ち位置」としています。
そのため、毎週希望者の中から抽選で数名だけの実施とし、その添削をACYの中で公開することで、全員が自分に置き換えて考え、それを続けることで「全員の考える力自体を養っていく」という形を目指しています。
ACYのコンセプトと施策のまとめ
では最後に、ACYのコンセプトや施策を整理してお伝えします。
まず、私が10年間の指導経験を元に発見した
技術の向上のために必要な4つのポイント
は、下記となります。
- 技術の全体像を把握すること
- スキルにフォーカスして練習に入ること
- 高い集中力で課題意識を持続させること
- 客観的な視点を取り入れること
そして、上記の4つのポイントを効果的に実現するための練習環境として、ACYでは
- 学習マップ
- フォーカスシート
- 2リグを使用したペア練習
- 公開のビデオ添削
という4つの施策を実装しています。
ACYのコンセプト
上記の施策は、ACYの基礎コンセプトである
というスローガンを軸に形成されています。
練習時間ではなく「質」「密度」に徹底的にこだわり、そのためにプレイヤーには
言語化
を常に要求します。
- スプラトゥーンが上手くなるとはどういうことか
- なぜ勝てたのか
- なぜ負けたのか
- 自分は今からどんな技術を身につけるべきか
- この試合は何ができて何ができなかったのか
そういったことを常に言語化できる状態になる。
そのためには、必ず自分の頭で考えなくてはいけません。
それこそが、
考える、だから育つ
の意味なのです。
だから、ACYは「スクール」や「指導塾」などではなく、
育成機関
だと明確に位置付けています。
逆に、
- 上手い人から上達するコツだけ教えてもらいたい
- 楽して勝てる方法を知りたい
そういう思考を持った人には合わないし、メンバーとして受け入れることはできません。
徹底的に脳に負荷をかけ、練習密度を高めていくことで、
上達すること自体が上手いプレイヤー
を育てていくという方針で運営しています。
2022年2月~7月までのβ版運用メンバーを募集しています
本記事を読んで、ACYの育成方針に共感いただき、メンバーになりたいと考えて下さる方へのお知らせです。
アタリメクラブユース(ACY)は、2022年の2月から7月までの期間において、β版として限られたメンバーのみでの限定運用を行っています。
スプラトゥーン3が発売後は、一般公開して正式リリースしますが、そこまでのテストユーザーとして、少ない人数ですがメンバーを募集しています。
現在は、2021年6月まで活動していた「旧アタリメフルボディーズ」のメンバーからのみ、限定募集していますので、詳しくは専用ディスコードサーバー「アタリメ団のアジト」にてお知らせし、ディスコードのDM等で詳細の連絡をさせていただいております。
上記、ご確認よろしくお願い致します。
これからも、良い未来に向けて一緒に楽しんで努力していける仲間を募集していきます。
あなたにも、仲間に加わっていただけると嬉しく思います。
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