がくちょうです。
新しいコンセプトで立ち上げたクラブチーム
アタリメクラブユース(ACY)
の発足からおよそ1週間が経ちました。
現時点で感じていることをまとめます。
総評
まず、全員ではありませんが、たくさんのメンバーが業界初の練習方法である
メタ認知ワーク
に取り組んでくれている状況に対して、非常に手ごたえを感じています。
というのも、はっきり言いますがこのワークはとても面倒で、練習前に最低でも10分とか15分、練習後にも20分程度の
コート外の時間
を要求されます。
ガチマッチ中毒になって、1分で多く試合をしたい人からしたら、合計30分以上も「プレイしていない」「オフコートの」練習時間を要求されるのは、心理的にきついものがあると予想していました。
そんな「めんどう」な作業に、1週間経ってもちゃんと取り組んでくれているという事実自体が、
メタ認知ワークに取り組むこと自体が、何らかの成長実感に繋がっている
という証拠だからです。
ぶっちゃけ最初の1回2回くらいなら、
「がくちょうがお勧めしているから」
でやってくれるでしょうが、人間というのは正直なので、意味が無いと感じたらすぐに辞めてしまいます。
しかし、1週間経っても選手はしっかり取り組み続けているし、私自身もむしろガチマッチに潜るよりもメタ認知ワークを中心とした練習時間の方を増やしたいという気持ちになっています。
この時点で、総評としてはおおむね好調であると考えています。
メタ認知ワークの効果と成長ポテンシャルについて
今回、ACYのβメンバーにはあえて様々なウデマエの人を招待しました。
そこで感じることは、
ガチマッチでは各人の成長ポテンシャルを天井にウデマエが止まる
というものです。
成長ポテンシャルというのは、本人の「物事をとらえる力=情報処理力」「原因と結果を紐づける力=課題分析力」「同時に様々なことを実行する力=並列実行力」などが合わさった、
自分を成長させるための潜在的な能力
のことで、これが高い人ほど、ガチマッチのような「雑にプレイ時間を積み重ねていくだけの非効率的な実戦中心の練習」でも、自分を成長させていく事ができます。
しかし、この「成長ポテンシャル」に頼った成長というのは、必ずどこかで止まります。
それがA帯の人もいれば、X帯の人もいれば、Xパワー2600の人もいて、大雑把にですが
- A帯あたりで安定する群
- S+帯あたりで安定する群
- X2200あたりで安定する群
- X2500あたりで安定する群
- それ以上に抜けていく群
という5つくらいの分布に分かれます。
2年以上にわたり、200名を超えるメンバーの育成に立ちあって感じるのは、これらの「成長ポテンシャル」の天井に到達した人間は、それ以上の練習時間をやみくもに増やしても、成長速度が極端に鈍化するという傾向です。
つまり、成長ポテンシャルの天井まで来てしまうと、それ以上の領域に上がるための「情報処理」や「課題分析」や「並列実行」ができなくなるわけです。
A帯で天井が来た人は、S+帯で発生している現象を「正しく処理」できないし、上手くいったこともいかなかったことに対しても「原因と結果をうまく紐づけ」られないし、やりたいことがあってもそれらを「必要なスピードと量」で実行できません。
メタ認知ワークは、それらを助けるような補助輪の役割を果たしてくれる可能性が高い。
オフコートの時間を作ることで、ゆっくりした時間軸の中で
- 課題を絞り込み
- 実行するべきことを事前に決め
- そこにフォーカスして練習後に情報処理する
ことで、ポテンシャルではとらえきれなかった粒度の細かい課題を発見し、上達の道筋とプランをじっくりと立てて、確実に1つずつスキルを身につけることができます。
そういう意味で、メタ認知ワークは成長ポテンシャルを突破するための仕組みだと言えるかもしれません。
学習マップと実践状況について
現在、ACYには「学習マップ」というガチエリアで勝利を収めるために必要なスキル群を可視化したものを用意し、その学習マップの中で選手が自分自身の課題を特定し、メタ認知ワークによってPDCAを回すという練習方法を採用しています。
学習マップは
- キルレシオ領域
- カウント関与領域
の2つの領域に分かれており、さらにその中に
- キルレシオ領域
- キル編
- デス編
- カウント関与領域
- 初動編
- 混戦編
- 打開編
- 抑え編
という6つのシーンが存在します。
各シーンの中に、3~7程度の「課題」が存在するため、およそ30程度の課題が存在し、その中から選手は
自分にとって重要な課題が何か
を考え、その課題にフォーカスしてメタ認知ワークを行いながら、「2リグ練」というACY独自の練習方法に取り組む形になっています。
私も黒ザップをメイン武器に設定して学習マップに取り組んでみているのですが、実践しながら感じていることがあるので、そちらも記しておきます。
理想のイメージを言語化+可能なら映像化することが重要?
現在、私は黒ザップで
- 初動編
- キル編
の2つの課題に取り組んでみたところです。
練習するたびにステージも違うため、毎回ステージごとに
- 初動はこういったムーブを試す
- こういう条件ならこのパターンに変更する
- このステージならこういうキルの獲り方を試す
などのプランを言語化し、それらを練習中に修正しながら達成度を高めていくような取り組み方です。
既に、想像していなかったようなポジショニングや初動ムーブを発見しており、いきなり勝率が上がったりする効果まで出ているので、かなり自分自身も成果を実感しているところです。
ただ、難しいと感じているのは、むしろ
適切な課題を見つける
という部分です。
他の選手にヒアリングしても何件も確認していますが、
- どの課題にフォーカスするべきか、悩んだ
- とりあえず取り組んでみた課題が、マッチしなかった
- 課題をあっちこっちウロウロした
などが多発しているようです。
この原因は、おそらくですが
先に理想を明確にしていないから
ではないかと考えています。
例えば私は先日、黒ザップで「オブジェクトインク状態の敵にキルを入れる」という課題に取り組んでみましたが、そもそも黒ザップの強みから考えると
- 自分がオブジェクトインクしながら絶妙に生存し続けることで中央面積を確保しつつ、敵にリスクの高いキルを選択させる
- 敵がリスクを取ってくる可能性のある場所を塗り固めておき、キルを狙ってくる敵から逃げてカバーをもらったり、対面有利なら返り討ちにしたり、味方を狙ってくる敵をカバーしたりしてキルを獲る
というのが、武器性能を鑑みた時の基本的なキルパターンのはずです。
逆に、オブジェクトインクの敵に自分からキルを入れにいこうとするムーブは、
- 射程が短く、確定数も多い
- 塗りが無い場所では得意の推し引きが使えず、対面を有利にしづらい
など、正直に言って武器の弱みが出やすくなり、うまみが少なくなります。
簡単に言い直すなら、黒ザップというのは
- 塗りまくりながら生きてるのが大事(これだけで、敵にリスクの高いプレイを強要できるから)
- リスクを取ってくる敵に一撃でやられないのが大事(瞬殺さえされなければ味方と返り討ちにできるから)
- 自分からキルを獲りに行くのは苦手(強みが出ないから)
という事になります。
ただ、黒ザップの場合はこれに加えて
- すぐに対面可能な位置で敵位置の予想がある程度できていれば、アーマーを付与した直後に突っ込んで自分からキルを獲りにいける
という性能アップする瞬間があるのが特徴です。
つまり、アーマーが付いてないシーンは基本ムーブとして「オブジェクト生存(デス課題①)」「返り討ち(キル課題②)」「カバーキル(キル課題③)」を自陣に近いところで展開するべきで、アーマーが付いた瞬間に「基本キル(キル課題①)」に切り替えていくような動きによって、キルレシオ領域の理想的なムーブになるという事です。
リザルトで言えば、最も塗り量が多く、デスが少なく、アシストキルが多い状態が理想と言えるでしょう。
こういった、「自分がそもそもこの領域やシーンにおいて、どのようなムーブを理想とするべきか?」というのが、言語化できていたり、可能なら映像化できていることによって、その理想と自分の現状とのGAPが発見でき、重要な課題に到達できるスピードが上がるはずなのです。
このような「理想のイメージの言語化」をする時間やタイミングが必要なのかも?というのが、現状の仮説です。
また、ACYの中で上記を展開して皆さんの感想も貰いたいと思います。
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